まくし立てるように私は続けた
「伊織くんが好きだから……
『伊音』なんて名前を付けたんでしょ?」
自分でもヤバい気がしてる
もう これ以上 喋るべきじゃない
でも
止まらない
「伊織くんは苦しんでる
ずっとずっと
あなたを傷つけたと……
そして伊音くんに兄と呼ばれることを……
苦しんで、苦しんで………」
自分のした事に
傷つき 苦しむ伊織くんの瞳が
頭をよぎって
「茜音さんが…ずっと伊織くんを想ってたと……
そう一言、伊織くんに言ってくれれば
彼は救われる………
苦しみから解き放たれるのに」
そう言うと
涙が溢れて たくさん頬を伝う
茜音さんが伊織くんを愛してると告げる
そうすれば彼は幸せになれる
もう苦しむことはない
だけど
同時に もう二度と
私の元へは帰らない
ううん
今だって伊織くんは戻らない
最初から私を愛していないから