―――亡くなった―――
私は視線をひざに落として
人が亡くなったことの
無念さよりも
お父さんが亡くなったことで
完全に私と伊織くんが繋がってた糸が切れてしまった
伊織くんは もう私の元へは
帰ってこない
そんな絶望が胸を支配した
「空羽ちゃんは伊織のことを
諦めたの?」
茜音さんが
そんな質問をするのは
とてもズルい気がして
何よりも屈辱的な気持ちになった
伊織くんの好きな人に
なんでそんな事を言われるのだろう
「あなたは どうなんですか?」
顔が熱くて少し震えた
「伊織くんはあなたが自分を好きではないと苦しんでます
でも、茜音さんは本当はもう ずっと前から伊織くんが好きなのでは ないですか?」
じっと茜音さんを見つめる
茜音さんも私から視線を逸らさずに見つめた