大学の帰りに



ショッピングモールに寄って



1人で ぶらぶら歩きながら



秋物のジャケットを探してた



平日の夕方



制服姿の高校生の群れが目立った



ある店のショーウインドウが気になって


ああいうコーディネートいいな



なんてよそ見をすると




――――ドンッ



太ももに何かがぶつかった



驚いて下を見ると



ぶつけた顔を両手で覆った小さな男の子がいた




よそ見して
子供とぶつかっちゃった



「大丈夫……?」



しゃがんで その子供の顔をのぞき込み




「―――――………っ」



私は凍りつく



「だいじょーぶ」とその子供が言ったのと同時に




「伊音っ!」



聞き覚えのある



愛しい 愛しい声が




「にぃに」



伊音くんが振り返り


伊織くんに駆け寄る



「伊音っ!走るなって何度言えばわかる…………」



伊音くんを叱りながら
伊織くんは 茫然と立ち尽くす私を見た