「何が?……私、何も聞いてないよ」
「……風羽ちゃん」
「何も聞いてない
何も知らない」
バフッて
タオルケットで顔を隠して
「何も聞いてないから
私、何も知らないから」
「言っただろう?
オレは悪い人だって…」
逃げ出したかった
決定的な何かを言われる前に
だけど
「オレはやっぱり風羽ちゃんを傷つけるから………」
伊織くんは
私を逃がしてくれない
そう思ったら
プチンッて
心の中の糸が切れた
バサッ
私は起き上がって
「だったら何?
私だって言ったよ?
伊織くんが悪い人だっていい
伊織くんなら私は傷つかない」
胸がヒリヒリして
のどに何かがつまってるみたいで
吐き出したいのに
苦しくて