伊織くんは
何か言えない事があるんだ
私と同じ
私が金森先生との事を言えないように
伊織くんにも
何かがある
いつも そうやって苦しんでるんだ
伊織くんは
いつも胸の奥で
苦しんでる
私は伊織くんを抱きしめた
「私は傷つかないから大丈夫だよ」
伊織くんが
優しくしてくれたから
私は こうして抱きしめる事が出来るようになったよ
伊織くんがしてくれたように
私も伊織くんを助けたいよ……
「風羽ちゃん…本当に離して
これ以上は危ないよ」
「……嫌。絶対に離れない」
「オレ、自信ないんだ
風羽ちゃんを傷つけないって
自信がないよ………」
「いいよ」
「理由もわからないのに
そんな簡単に言っていいの？
オレがどうして自信がないのか風羽ちゃん知らないだろう？」
知らないよ
理由なんて知らない
でも
「いいよ。私、伊織くんを離したくないから」
