こんな時に
大丈夫なわけないよね
まだ伊織くん23なのに
お父さんの病気
書店を継がないといけなくて
茜音さんも まだ若いし
伊音くんだって 小さいし…
全てが長男である伊織くんの肩にのし掛かるんだ
「風羽ちゃん」
伊織くんがベッドから降りて
私の隣に座って
「大丈夫だから、そんな顔しないで」
ポンポン頭を撫でた
大変で不安なのは
伊織くんなのに………
「どうしよう、風羽ちゃん
泊まっていく?
きっと 泊まりとかは今日で最後だ」
伊織くんは実家に帰るし
家には てっちゃんがいるし…
今までみたいに
一緒に寝たり出来なくなるんだ
「……迷惑じゃない?」
私が上目遣いで訊くと
「もちろん
オレはそばにいて欲しいよ」
伊織くんは優しい目をして
私の頬を撫でた