マンションの前に車を止める
「一人暮らししてるの?」
伊織くんの言葉にハッとして
「う…ううん。友達とシェアしてる」
いくら何もないとは言え
男の子と暮らしてるなんて
言えないよ
「ふ~ん。楽しそうだね」
ハンドルに両手をかけて
伊織くんは真っ直ぐ前を見てた
良かった。女友達だと思ってる
「じゃあ、今日はありがとう」
私がドアに手をかけると……
「………空羽ちゃん」
伊織くんが呼び止める
「なに?」
「……………」
何かを言いたそうに伊織くんは口を開いたけど
「ごめん。なんでもない。また連絡するね」
………伊織くん?
「うん。じゃあね」
私は車を降りた