「陣野は…どこに?」

「わ、わからない。その男の血を吸った後、どこかへ行ってしまったの」

穂高は軽い舌打ちをしてすぐに保健室の入り口から廊下を見回した。

陣野先生はどこへ行ってしまったんだろう…?

やっぱりまだ「イヴの欠片」を探しているんだろうか。

江島先生の手を握ったまま、わたしはため息をついた。

「わからないの……ほんとうに。ヴァンパイアなんてものは。ねぇ…あなたもでしょう……?……入江神音…さん?」

…………え―――――?

江島先生の声のトーンが変わった。

そう思った瞬間。

……………ブシュ……ッッ……!!

鋭い音が、わたしの『耳元』で響いた。



………な………に………………?

……なんな…の……?


グジュ……ジュル………!!


激しく「吸う」音が聴こえる。




「……神音……………!!!」



振り返った穂高の凍ったような表情。




わたし……………江島先生に、血を吸われている…………。



喉が焼けつくように熱い。


気が遠くなりそう………………。



――――――――穂高…………助けて……………!!!