用務員室を出て暗い廊下を歩き始めた途端。

「うわぁあああ!!」という男性の悲鳴のような声が聴こえた。

「ほ、穂高!?」

キュっと唇をしめてフードをしっかりとかぶりなおす穂高。

「行こう」

わたしの手を握って廊下を走りだす。

……ドクン、ドクン、ドクン。

緊張と恐怖で心臓がはち切れそう。

この声は…用務員のおじさん?

今まで聞いたこともないような切羽詰まった悲鳴だった。

まさか……先生が……?

声の聴こえた1階の廊下の端まで全力疾走する。

穂高の足はすごく速くてついていくのが大変だけど、彼はわたしの手をしっかりと握ってくれていた。

「……はぁ、はぁ……ここ…は!?」

声をたどって走ってきたわたしたちは結局、1階の端の保健室の前に突きあたった。