泣き疲れていつの間にか眠っていたわたしは、ドアチャイムの音で目を覚ました。

………朝?

雨の音が、まばらに聴こえる。

ぼーっとした頭で、考える。

目の端に映った目覚まし時計で、はっと気づいた。

いつの間にか、4時間くらい眠っていたんだ。

病院から帰ってきたのがお昼くらいだったから、今は夕方の4時だった。

少しけだるい体を無理やり起こし、2階の自分の部屋から1階へと降りていく。

チャイムは一定時間を置きながら、まだ鳴り続けていた。

玄関のドアの取っ手に手をかけながら、「どなたですか?」と訊いてみる。

「…オレ」

…………穂高!!

顔から血の気が引き、蒼ざめていく自分を感じた。

「………っ」

「……神音?風邪だって聞いて…大丈夫か?」

ドアを持つ手が震えた。

……開けるのが、怖い。

今は、穂高の顔をまっすぐに見る自信が………ない!!

「穂高……わたし、大丈夫だよ。軽い風邪だってお医者様も…。今、ひどい格好してるの。寝汗でぐしょぐしょだし、今日は悪いけど…帰って」

少しの沈黙のあと、囁くような声が聴こえた。

「…顔だけでも、見せてくれないか?なんか声に元気がなくて、心配だから」

穂高の優しさに、ズキンと胸が疼いた。

「へ…平気!今日はパパも早く帰ってきてくれるの。熱もないし、病院でちょっと疲れただけ…だから…」