家に帰ったわたしは、雪音を暖かい服に着替えさせベッドに寝かせた。

そして自分も着替えて落ち着いた途端、ふっと気が抜けたようにベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。

『神音ちゃん、穂高の血を一番に飲んであげてよ』

レイの言葉が、痛みのようにわたしの胸を通り過ぎた。

タクシーに乗ってから、ずっと穂高のことを考えていた。

穂高の笑顔。

穂高の優しさ。

穂高の言葉。

穂高のキス。

それらが、嵐のように押し寄せては、わたしの心を突き刺した。

……痛い。

体も、心も、痛いよ。

「……ふぇっ……」

まだ濡れた重たい髪をベッドに落としながら、シーツをきつく握り締め、ベッドに顔を埋める。

「……ほ…だかっ……!」

自分で自分がわからない。

穂高が好きなのに、先生とキスする自分。

先生の血を欲しくてたまらなかった自分。

「……わたし…最低だよっ……穂高……!」

キスの途中、穂高のことを少しも思い出さなかった自分の罪が、重くのしかかる。





……神様、この罪は、いくら泣いたら、消えてくれるだろう――――?