向かいのベンチに座っていた男性に侑夏の目は向いていた。 視線に気づいたのか、その男性は立ち上がり去っていった。 「あ~あ、行っちゃった……」 「そりゃ、ずっと見つめられれば居心地悪いでしょ(笑)」 「ん~……そろそろ帰る?」 携帯の時間を気にしながら聞いてきた侑夏は天使にこの時は思えた。 なぜなら、私の足はすでに悲鳴をあげていたからだった。