宴も終わり俺は絢音を家まで送る。
やけに静かな夜だ。
そう思うのはコイツといるからなのだろうか。
翔や陽がいると意識しないのに、2人になると意識してしまう。
周りの虫や車の音よりも自分の心臓の音の方がうるさい。
そんな心臓の音のみが聞こえる世界に絢音の声が響く。
「あのさ。」
「なに?」
「バンドとして音楽をしたい。って言ったじゃん?」
「ああ。」
「蒼空はどう思う?」
“どう思う?”そう聞かれ俺は一瞬言葉を詰まらせた。
「お前の好きな音楽ならそれでいいと思うよ。」
それは素直な俺の言葉だ。しかし絢音は顔をしかめた。
「違う、違うの。蒼空の、コノ世界の先輩の率直な意見が聞きたい。」
俺の、率直な意見…。
「難しいとは思うよ。バンドとしてではなく、ソロでデビューしてバンドメンバーを集めることは。」
「やっぱり?」
「ああ、俺たちみたいなやつらはコイツらと音楽を続けたい。そう思ってこの世界に入ってる。そんなメンバーに出会えることは簡単なことじゃないと思う。」
俺の言葉に、絢音は肩を落とすどころか食いつくように真剣に耳を傾ける。
バンドメンバーとの関係性や音楽への感性や熱意の一致他にも大切なことはたくさんあると思っていること。
俺が話終えると、絢音はふーっと長く息を吐いた。
「ありがとう」
「なんだよ。」
「何か気持ちの整理が付きそうだなっと思ってさ。」