『もしもし、お電話変わりました。泉絢音様でいらっしゃいますか?』



『は、はい。泉絢音です。』


『私、お電話させていただきました星空クリエイティブの大野と申します。突然のお電話失礼しました。』


『は、はい。大丈夫です。
あのー…星空クリエイティブってアノ星空クリエイティブですか?』



『えーと。アノかは分かりかねますが、弊社は芸能事務所の星空クリエイティブになります。』


驚きのあまり言葉を失ったのだろう。一瞬その場を沈黙がはしった。


しかし、すぐに絢音の声が電話越しに響いた。


『えっと、星空クリエイティブさんが、私なんかに何の御用でしょう?』



その声は微かに震えていた。


『本来ならこういうお話は直接会って話すのが一番なのですが…。


今回泉様にお電話をさせていただいたのは、あるお願いのためです。』



『あるお願い?』


『はい。先日泉様が行われた路上ライブが今ネット上で大変話題になっていることはご存知ですか?』


『へ?』


は?


絢音が間抜けな声を漏らしたのと同時に、俺も心の中でそう呟いた。



この前の路上ライブがネット上で話題に?


色んな批評を見るのも腹が立ついう理由であまりネットを見ない俺が、そんなこと知るはずもない。


『あれ?まさかご存知なかったですか?』



『は、はい。』


『今、TwetterやMeTubeであの路上ライブの映像が投稿されてかなりの話題となってまして。』



『はい。』



『ぜひ、泉様にうちでアーティストとしてデビューしていただけないかと思っているのですが。』