それは、まるで幻のように
キラキラと輝いた
僕には贅沢すぎるほど
幸せな瞬間だった
「最近蒼空君、雰囲気変わったよね」
「そうっすか?」
俺は目の前のファッション雑誌に目を通しながら適当に返答する
「なんつーかさ、柔らかくなった」
そう言いながら俺の髪をセットする
ヘアメイク担当の松井は鏡越しで俺を見る
「なんか良いことでもあった?」
「別にないっす」
再び適当に返答すると
松井はふーんと何やら意味深な態度を示した
何かを察しているような
何かを見抜かれたような
そんな気がして、俺は平然を装い
雑誌のページを捲った