「なぁ、サクラ。俺は―――」

「間違っていたか
 正しかったかなんて、
 俺に聞くなよ。

 おめぇが間違ってたと
 思えばそうなんだろうし、
 やっぱり正しかった
 と思えば、
 それもまた
 そうなんだからよ」

「どういうことだか
 さっぱりわからない」


先手を取られて、なにやら腹立たしい気分になっているアオに、

サクラは言った。


「だからよ。

 手をくださなかったことに
 対する後悔も
 手を下したことに
 対する後悔も、
 一切合切
 おめぇだけのもの
 だってこと。

 どっちにしろ
 後悔するなら、
 その時の選択を
 よしとしておきゃ
 いいんだよ」

「そういうものか?」

「そういうものだ」

「けど、だ。なぁ、サクラ」


アオは泣きそうになって顔を歪ませる。

半分、泣いているような気がした。

目の縁が熱かった。