もちろん。

それでも異端者がまるきりいなかったわけじゃない。

どこにでもやはりそういう奴はいる。

かたくなに自我に固執する者。

けれど、そういう奴らは気づくといつしか姿を消していた。

どこかの収容所に入れられるらしいと噂され、

そんな噂が信じられるような世の中だった。


「は・・・・」
 

小さく笑って窓から離れる。

どうだっていい。

もうそんな世界はないんだ。

俺だって今はもう無条件に明日を信じているわけじゃない。

そろそろ行くか。

長居をするのは危険だ。

あいつが来る。

俺はとりあえず生きてきたけれども。

内臓を引きずり出されても生きていられるほど超人でもない。

おまけに戦闘能力も低いときてる。

もともとゲームくらいでしか人を殺したことなんかなかったんだ。

世界が終わりました、人を殺して生きなさい、

はいそうですかってなわけにはいかないさ。