その日の放課後。
玲は僕の家に来ていた。


「玲!」

「ん~?」

玲は僕のコミックマンガを開きながら言った。


「あのさぁ……伊東の好きな人知ってる?」


「え、七海?知らないけど…」


玲、七海といつも一緒にいるのに知らないのか。
それとも好きな人がいないのか…。


「でもたくちゃん、なんでそんなこと聞いたのよ?」


…なんて言い訳をしよう?
啓介が伊東のことが好きで僕が協力をしている…なんて言える訳がない。


「もしかして、七海のこと好きなの!?」

「はぁ!!?んなわけねーだろ」

「ほんとかなぁ~?だってそんな事聞くのって七海の事好きとかしかないじゃん!」


「だから、違うって言ってんだろ」

彼女はうつろな目で僕を見ると、再びマンガを読み始めた。