友達が遊びに誘ってくるものの、謝り倒して私は小走りに駅とは反対方向へと向かう。

 上を見上げれば、灰色の空と私の間には高速機関道路(ハイウェイ)を思わせる長大な高架がかかっている。

 徐々に視線を先にやれば、それは市街を一周する巨大な円であるとわかる。

 津久美環状高架と名付けられた、機関通信網。日本において津久美市が最先端を行くと言われる理由のひとつがこの高架なのだ……と先生が言っていた。

 この高架沿いにしばらく行くと、目的の場所が見えてくる。

 外壁にツタの這った、古めかしい店構え。