「お待たせいたしました、ホット珈琲と牛乳たっぷりでございます」

 営業スマイルで、私の前にマグカップがひとつと、たっぷりミルクの入ったポットがおかれる。

「嫌味ったらしいー」

 軽口を叩きながら、深めのマグカップにミルクを注ぐ。先にスプーンでぐるぐると渦を作ってから注ぐと、綺麗な渦巻きが出来て楽しい。

「あれ、珈琲少なくない?」

 しかも前回はマグカップじゃなくて、浅い珈琲カップだったような。

「いっぱい入れたら牛乳はいんねーだろが。そのかわりお代わり用意してあっから」

 グラス拭きに戻った彼が言う。なるほど、だから深いマグカップ。