教科書にも、友達の話にも答えは載っていなくて

確かめる術は自分の中にしかない。

もどかしいと思えた。

沙織や千恵にはやし立てられる日々が続いて

自分の気持ちが分からなくなってきたから

サークルのミーティングで、先輩に相談してみた。

他校のしかも1つ上の先輩という関係が、近すぎる沙織や千恵とは違ったアドバイスをくれると感じたから。

先輩は気張らずにがんばりなよ、って応援してくれて

いつでも相談していいからって新しいケータイの番号とアドレスを貰った。

池谷美保先輩。

中学も同じだったけど

こうやって恋の話をするほど親密だったかといえば別で、だけどこの件でぐっと池谷先輩との距離は縮まった。

サークルのミーティングには、すごい綺麗な先輩の姿がある。

河田君はカラコンだけど、この先輩は(多分)裸眼。

瞬きする度にガラスの瞳がキラキラ輝いて見えた。

話とかはしたことない。

本人も池谷先輩や吉沢先輩としか話をしないし。

沙織も美人だけど、先輩は飛び抜けて美人。

その飛び抜けた何かに背を押してもらいたくて、ドキドキしたけど声をかけてみた。

細い指がマクドのポテトをつまんで口に運んでいた瞬間だった。