これが、本当にライバルといえるヒトなんだと思った。



「好きな人できた?」

沙織と千恵が嬉しそうに顔を寄せてきた。

「いやそうじゃなくてライバル意識っていうか」

「なんだぁ、そういうのはいいよ。クラスのヒトなんてみんなライバルなんだから」

「でもその上で特別で意識してるなら、もしかして好きなんじゃない?」

千恵はとんでもないことを言ってきた。

「そう……なのかな」

「そうだよ」

それで、誰? と沙織は結論を急いだ。

「……先に言っておくけど、まだ、気になってるだけだからね」

「分ってるって、で? 誰誰」

私が小声で呟いたのを、2人は騒がしい昼休み中だというのにしっかりと聞きつけた。

「ウッソー! そこ? 真面目なのがいいの? あーってか、真面目ではないか」

授業殆ど寝てるし河田とつるんでるし。

沙織はちょっと嫌そうに言ってはみたが、にやりと笑った。

「いいんじゃない? 私応援するよ?」

「うん、私も応援するよ絵里子」

2人にそう言われると、別にそんな気もなかったハズなのに変に意識してしまった。


人を好きになるのも、実はとてもシンプルなことなのかもしれない。