少し遅れて教室に入った。

それと同時に教室の全員がこちらを見た。

「佐伯さん、どうして遅くなったんですか。」

担任の女教師が面倒くさそうに言う。

私の発言に注目が集まった。


どう見ても今さっきまでいじめられいた格好でしょう?

足跡のついた制服。

赤い頬。

まとまりのない髪。

汚れた顔。


でも、

いじめられてました、なんて言えない。

川瀬たちの嘲笑う声が聞こえた。

「ごめんなさい。寝坊してしまって。」

淡々と述べた。

「早く席に着きなさい。」

女教師は今日の報告事項について話し始めた。