「警察の者ですが・・・。」

警察の話は、うざかった。

長々と、意味不明なことを繰り返し繰り返し、返事を返す気にはなれなかった。

唯一、耳に入ってきたのは『坂本 雪夫』。

雪夫さんだった。

もう居ないんだって想ったって涙は出てこない。

冷たい人間なのかな・・・。


「佐伯さん。貴女は真実を知っていますか?」

知ってるよ。

知ってるとも。

「か・・・・・・・。」

言いかけた時、

「川瀬です。川瀬メイ。」


利世が言った。

警察は目を丸くしていた。

「ありえないよ・・・。あの社長さんの娘さんですよ。いくらなんでも・・・。」

警察はうろたえていた。

川瀬には世間では、『優しく素直な子』とインプットされている。

そう簡単に、世間が川瀬のイメージを変えれる訳が無かった。

それでも、利世は私の代わりに言った。

「私は実際見ていませんが、優衣が知っています。ね。」

利世はこちらをみて、にっこり笑った。

「・・・はい。雪夫さんの携帯に証拠のメールがあるはずです。」


警察は一礼すると、急いで病室を出て行った。




後は・・・神に任せよう。


私は眠りについた。