中2の冬。
交通事故で母親が死んだ。
その頃から父親の会社は大きな利益を得ていて金は沢山あった。
そのせい、父親は仕事に命を懸け、母親の事なんかどうでもよかった。
私と父親はうまくいっていなかった。
家に居場所が亡くなった私は、よく金を持って家を出た。
煙草を吸いながら街を徘徊する毎日だった。
その時の風景は瞼の奥に、しっかりと残っている。
あの時は雪が降っていて、とても寒かったが同年代の奴が沢山いた。
私は真冬なのにパーカーにミニスカ履いてとても目立つ格好だった。
何度か男に話しかけられたがす全て無視した。
いつもよく行くバーに向かう細い道に入ると、
喧嘩の真っ最中だった。
三対一と、どう見ても一方的だった。
一人の方は地面に這いつくばっていて、ピクリとも動かない。
止めなよ、勝敗ついてるよ、と止めに入った。
自分でもなんでこんな事してるのか分からなかった。
そいつらがとこかに行くと、這いつくばる男に触れた。
ヤンキー男だったが、珍しく素直で「ありがとう」と言った。
感謝されたのは初めてだった。