気付くと夕方になっていた。

体を起こそうとすると、全身に激しい痛みが襲った。

やっとのことで起き上がると、アイツがいた。

名前・・・忘れてしまった。


「優衣・・・ちゃん?」



その可愛らしい声で穢れた名前を呼ぶな。

叫んでやろうと思ったが、そいつの差し伸べる手を払うことになる。


そんなことはしたくなかった。

なんて勝手なの。


足元がふらつき、そいつの体に全体重がいった。

そいつは少しよろめいたが、細い足で私を支えた。

その姿がどうしようもなく泣けた。


「名前・・・忘れた」

無意識に呟くと、そいつは嬉しそうに「利世だよ」と言った。