いつもと変わらない汚いトイレに入った。
「遅かったわね。」
いつも通りか思われたが、目を疑うの様な光景。
一つは、川瀬は笑顔だった。
その顔に寒気がした。
一つは、川瀬の周りにいた女共がいなかった。
そのかわりに、大きな男が立っていた。
女子トイレなのによく入ったな・・・と嘲笑う。
「ごめん。」
「いえ、良いのよ。」
何かおかしい。
存在自体をばかにされているみたいで腹が立った。
「もちろんお金はないよね」
川瀬の笑顔は保たれたままだ。
どうして。
「佐伯、この人はね私の彼氏の【ケイタ】。」
川瀬は男に寄った。
男は長身で、がっちりした体だった。
トイレが男の体のせいでいつもより小さく見える。
あまりのいかつさに、足がすくむ。
川瀬は続けた。
「彼は、私のためにわざわざ学校に来てくれたの。」
いつもは学校に来ていないってことか。
「ケイタ・・・コイツ半殺しにしていーよ」
直後、記憶が吹っ飛ぶほどの衝撃が私を襲った。