「ねぇ。私の事は、利世で良いからね!」

彼女は笑顔で言った。

腹の中をえぐられた様な感覚。

「私、いじめられてるの。」

「・・・・え」

笑っていた顔がみるみる無表情へと変わっていった。

彼女の顔は、感情がなかった。

ショックを受けているのだろうか。

そんなはずは無いとない心が思う。


しばらくして彼女は我に返った。

感情がここにある。

だが、彼女の顔は青ざめていた。



もう喋らなくなったその子を置いて、

階段を上ってトイレに向かった。

いつもより少し遅れてトイレに入った。

そこにはキレかけ寸前の川瀬と見かけぬ男がいた。

いつもより倍に殴られるかな、なんてない心が言った。