しばらくしてから、戻って来た。姉ちゃんは、猛さんに手のひらを合わせ頭を下げる。



「猛くんごめんね?もう行かなきゃ」



「え!?」



目を丸くする猛さん。でも、状況をすぐに理解した猛さんは、姉ちゃんに向かって気にしないでと言って頬にキスをした。



姉ちゃんは、少しだけ顔を赤くし笑顔を浮かべる。



「ありがとう!猛くん!」



手のひらを高く頭の頭上にやりバイバイと言って姉ちゃんは、駆け出した。電話の相手の元に…



「誠くん…俺ダメだね?」



「気づいてたんですね?僕の事…」



「ああ…」



「僕は姉に何も言えませんけど、頑張ってくださいね?」



いつも猛さんを励ますのが、僕の役目。僕は、姉ちゃんの後を追ってその場から去った。