冷蔵庫から玄関へ。
ビデオ屋はすぐ近くなのでサンダルを履く。

そう、ビデオ屋へは歩いて五分しかかからない。

あの男が置いていった手紙を握り締め、
京子は玄関の扉をあけた。


しかし外に出たら急に目に激痛が走った。

「目が!目がぁ~!」

痛いながらに京子は考えた。明日の味噌汁は白味噌で作ってみよう。

京子ーッ!ファイッ!

得体の知れない悲しみの淵で、京子の叫びがこだまする。
オームの通った溝は、母の優しさと同じ深さであった。

京子はポケットから目薬を取り出してさした。
痛みは治まった。いつもの発作だ。

目薬をポケットにしまうと、ポケットに柔らかい物が入っている事に気付いた。
そうだ昨日謎の男に手渡された物があったんだ。

「何これ・・・、食べれるのかな?」

そう思って臭いを嗅いでみた。

ペチャアァァ!

突如、そのやわらかいものが京子の顔に飛びついて来た。

道端でもがいていると

「どうしたんですか?」

とビデオ屋の店員が驚いて飛び出してきた。

た・・・、助けて・・・。

ビデオ屋の店員は叫んだ。

「今日はレンタル半額デーですよ!」

「よ、よかった・・・」


京子は布団から起き上がった。

「夢かー。変な夢だった。いけない!学校に遅刻しちゃう!」