3年後・・・。


地球には平和が戻っていた。

神谷は海でボーっと空を眺めていた。今年の夏は猛暑だという。日差しが暑い。
だがこうやって日焼けできるのも京子のお陰だ。
あの時・・・。

3年前のあの時。

神谷は光を浴びて記憶を失うはずだった。

しかし神谷は記憶が消えなかった。
特殊なメガネのお陰だ。




あの時なぜ京子はオームと空に行ったのか。
神谷はあの時の事を振り返った。



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「神谷君、京子はどうなったとおもうかね?」

「え・・宇宙へ・・彼女は・・死んでしまった?」

「うむ。普通はそう思うかもしれん、
だがな、神谷君、京子は、京子という形を捨ててしまったが、
死んでしまったわけではないんだ。」

「ど、どういうことですか?」

「いずれ分かる時がくるさ。それは突然わかるんだ。」

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それ以上、義武は語らなかった。

その日以来、その件については、自分以外みんな、
忘れてしまっている。


「京子は・・生きているのか・・」


空を眺め、神谷少年は叫んだ。


「京子ーーーッ!」


彼は恋をしていた。


こんな形で、うやむやに、終わってしまって、
どうしようもない、気持ちを胸の内に隠している。


キラリと、空がひかった。


「こたえてくれた」


ふたたびキラリと空が光った。



「そうか、京子は宇宙から俺達をみていてくれてるんだ、

 これはもう、僕しかしらないことなんだ。京子。」





***



あの時のことをまるでうそのように、誰も知らない。
破壊された街はほぼ復興した。

今日も、またいつものように生活が始まるだけなんだ。