『思い出すのも久しぶりな位、忙しい日々だったのかな───』 加奈子は携帯を閉じて、米が炊き上がった香りに包まれたキッチンへ向かった。 ────────── ブランチをし、着替えを済まして加奈子はマンションを出た。 久しぶりにウインドーショッピングをして気を紛らわそうという魂胆だった。 加奈子は一歩、また一歩と先に足を進めながら『夕飯はハヤシライスにして、ワインを飲もう!』───と決めていた。