店に残された加奈子と健太郎は会計を済ませ、店を出た。
『急にどうしたの?』
隣で歩く健太郎に加奈子が言った。
『気持ち伝えるみたいよ。』
加奈子が驚いた面持ちで健太郎を見返した。
『そんなに驚く?』
『驚くわよ。だって、たまきの話を聞いてると坂本さんにはその気がないみたいに見えたから。』
『あいつ硬派だからな。それで何人かに振られてるし。』
『硬派って。健太郎さんを見習えば良いのにね。』
笑いながら加奈子が言うと健太郎も笑った。
『俺はストレートなの。』
自慢気に言う健太郎に失笑した加奈子は健太郎の腕に手を絡ませた。
『そのストレートに落ちた私ね。』
微笑んで健太郎を見上げた。
『ははっ。』
『笑う?』
『照れ隠しだ。』
健太郎が加奈子の頭を撫でた。