『たまき、携帯鳴ってるわよ。』
加奈子がトイレから戻って来たたまきに声を掛けた。
『ん。ありがとう。』
たまきが携帯を手に取り、操作しているとたまきが『─あっ!』声をあげた。
『どうしたの?』
『さ、坂本さんが─』
『うん?』
『今から会いたいって…』
『えっ?お誘いじゃない!』
『うん…』
『気乗りしない?』
『う〜ん…』
『会ったら変わるって!行っておいでよ!』
加奈子がたまきに言うと同時に店のドアが開いた。
『え?健太郎さん?』
入り口に立っていたのは健太郎だった。
『たまきちゃん。我慢出来なくて、坂本連れて来ちゃった。外で待ってるから行ってやって。』
たまきは驚いたものの、席を立った。
『加奈子ごめんね。埋め合わせするから。』
そう言うと店を出て行った。