『何を言っても無理なのね…』

女性は顔を上げた。


『少し渋れば、思い直してくれるって思ったけど…』

『悪い……』


『…謝らないでよ。余計惨めになるじゃない。』


女性はまた頭を振った。


『解った。別れる。』


健太郎がパッと顔を上げた。


『さっきの女に言っといて。殴って悪かったって。ただの、妬みだったの。あたし健太郎と、ああいう店に行った事なかったし…むかついただけ…』


女性はそう言うと丁度通り掛かったタクシーを止め、乗り込んだ。


『早く彼女の所に行きなさいよ。好きなんでしょ?さよなら。』


女性は笑顔で健太郎に言い、タクシーを走らせた。



健太郎も慌てタクシーを止め、乗り込んだ。