イタリアンの店を出て、加奈子は若干ワインを飲みほろ酔い加減で歩んでいた。

健太郎は店を出てから携帯に電話が来ているので店の前で話していた。

その様子を目を細めて見つめていると加奈子の前に細身の女性が立った。


『…鮎川加奈子ね。』


女はそう言うと目深く被った防止を取った。

ロングヘアーが風になびいた。

『健太郎とはどういう関係なの?』

『え…?』

『あんたさ、人の男に手を出すのが趣味な訳?』

『へ…?』


加奈子が訳がわからず呆然と立ち尽くしていると、女は右手を振り上げて加奈子の左頬を叩いた。


"パァーン"


乾いた音がした。
加奈子は左頬を押さえても尚、呆然としていた。

『加奈子…?おい!!優か?お前何やってんだよ!!』

ただならぬ気配を感じてか、健太郎が駆けつけた。