『横溝〜!缶ビール飲んで良いか?』
『あ〜。』
『お?何、お前メールでもしてんのか?』
坂本が健太郎の手元を覗いた。
『見んな!』
『まさか加奈子さんと?』
『あ?そうだけど。』
『何なんだっ?!仲良しなのかよ?!』
坂本は机の上に缶ビールを荒っぽく置き、頭を抱えた。
坂本とは同じアパートに住んでいる為、行き来する事が度々あり、今日は坂本が健太郎の部屋に居た。
『んだよ。お前だって、ちゃんと相手居んじゃん。』
『え?誰の事?』
坂本が眉間にシワを寄せて言った。
『は?たまきちゃんしか居ねえだろっ!』
健太郎も自分の分の缶ビールを冷蔵庫から取り出して言った。
『たまきちゃんね〜。』
『何?うまくいってねえの?』
坂本は一口ビールを煽ると座椅子に寄りかかり、天井を仰いだ。