『お…お腹空いた……』
加奈子はL字のソファーに寝そべり、天井に向けて呟いた。
今日は朝から何も口に含んでいない。冷蔵庫は空。虚しく"カタカタカタ"と揺れる冷蔵庫をまた、目を細めて見入る加奈子。
『めんどくさ……』
冷蔵庫から目を反らし、また天井に向けて呟く。
外では蝉が大合唱をしている。
室内は快適な温度。
外は猛暑。
10日ぶりの休日をゆっくりと過ごしたい加奈子は、外の猛暑に触れたくなかった。
─ピンポーン─
インターホンが部屋に鳴り響いた。
『ん〜…誰よ…』
加奈子はダルそうな顔をし、玄関へ向かった。
リビングと玄関に通じる廊下の扉を開けると若干熱気が加奈子を包む。
顔をしかめながら、ドアスコープを覗くと宅配便のお兄さんがハンカチで顔を拭いながら笑顔で立っていた。
『相沢さーん!いらっしゃいますんか〜?!』
宅配便のお兄さんが声を掛けてきたので加奈子は急いでドアを開けた。
『あ、はい。』
加奈子が顔を出すと宅配便のお兄さんは笑顔になり、足元に置かれている段ボールをよこした。
『相沢様お届け物です。こちらにサインをお願いします。』
サインを済ませ、荷物を受け取りまたリビングに戻った加奈子は急いで段ボールを開けた。