自由気ままな今の暮らしは、俺にとっては
快適だった。
なのに……
いきなり別れ話を持ちかけられた。
さては、俺に結婚を迫る為の前置きだな?
「別れない?私達……」
こんな関係がズルズル続くならもう別れましょ、と言って
俺に『じゃあ、結婚しよう』と言わせたいんだろ?
「何言ってるんだ?今さら。俺達は割り切ったいい関係だっただろ?」
香織は、全く俺の目を見ようともしなかった。
俺はタバコの煙をフーーーっと香織の横顔に向かってかけた。
怒れよ。
いつもみたいに。
タバコの匂い嫌いなんだろ?
何、黙ってんだ?
遠い目をして、お前は何を見ている?