バレンタインがやってきた。


由美子から連絡はない。



バレンタインを忘れているわけもないだろうが。




「瀬名先生、これあげる」


骨折した小学生の女の子からチョコをもらった。


「これ……いつもお世話になっているお礼です」



患者さんから数個のチョコをもらい、俺はこの職業が本当に好きだなと思った。





「瀬名せ~んせっ!!」



昼休みにコーヒーを飲む俺の肩を叩く。


振り向くと、受付業務をしてくれている女性。




「お疲れ様です!これ、本命ですよ」



そんな冗談を言いながら、チョコを渡された。



「ははは、ありがとう。そんなこと言ってると彼氏に怒られるぞ」