診察を終え、デスクを片付けた。



思い出すのは、平野さんの笑顔。


今日見た、あの笑顔……



病院を出て、帰ろうとしたときだった。




不自然にうろうろしている女性が目に入った。



大きな荷物を持って、キョロキョロしていた。




目を細める。




「ちょっと!!平野さん!!」




平野さんのことを考えていたら、平野さんに会えた。


これを俺は勝手に『運命』だと思うことにした。




「あ。瀬名先生」