『じゃあ、また夜にね』
俺は、平野さんへの想いを正当化するために、由美子の欠点を探していただけなのかも知れない。
いつも、俺のことを心配してくれない由美子。
俺の気持ちは固まりつつあった。
この結婚、やめた方がいいんじゃないかって。
今日の夜、話そうか。
いきなり過ぎるか。
今日の夜、由美子と会えるって言うのに、俺の心は全く弾まない。
それどころか、落ち込んでいる。
いつもそうだったのかも知れないな、俺達。
本音を隠し、どこかうわべの付き合いで。
お互いの仕事を理解しているようで、お互いに自分を守りたかっただけ。
束縛しない関係と言えば聞こえは良いが、束縛もできない関係だった。