「はい。瀬名先生は、既婚者と同じです。今の発言は、浮気への第一歩です」
また惚れた。
こういういさぎよいところも好きだ。
少し寂しそうな表情をしたことで、彼女が俺に好意を持ってくれていると確信した。
「ははは。平野さんは厳しいですね。でも、平野さんからのチョコ欲しいな、俺」
とうとう『俺』って言ってしまった。
もう隠せない。
俺、こういう男なんだ。
スマートで爽やかなドクターの顔の裏には
普通のどこにでもいる男の顔が隠れている。
「瀬名先生、軽いよ。誰にでも優しくしてると、いつか誰からも愛されなくなるよ」
誰からも愛されなくなってもいい。
君さえ俺を愛してくれれば。