「そんな人いません。自分で触ればいいですか?」 ふてくされた表情で、平野さんはそう言った。 本当にいないのか? こんなに綺麗なのに? 「すみません……つい、お綺麗なんでそういう方がおられるかと……ご自分で触るのはだめです。腰をひねると良くないので、だめですよ!」 俺は思った。 俺がいつでも撫でてあげるよって。 そんなことを思ったのは医者になってから初めてだ。 おっと。 いけないいけない。 俺は、何を考えているんだ。