「恵理ちゃん泊まっていってやってくれる?俺はもう帰る」
私、少しは期待していた。
雅也さんとふたりでいろいろ話せるかなって。
もしかして悩み相談とかされて、メアド交換とかって。
「雅也さん!!頑張ってください。私、応援してるんで」
私、雅也さんと会えなくなるなんて嫌。
自分勝手だけど、先輩と雅也さんには別れてほしくない。
「恵理ちゃん…… ありがとな。でも香織に言ったら殴られるよ、きっと」
雅也さんは、情けない表情で伏目勝ちになった。
「また……こういうことが会ったら俺を呼んでくれないか?」
そう言って……
私と雅也さんは赤外線通信を使って、携帯番号とメアドの交換をした。
雅也さんは香織先輩が好き。
私には1ミリの興味もない。
わかっている。
だから、応援する。
雅也さんが笑ってくれるように。
雅也さんが元気になってくれることが嬉しいから。
だから雅也さんの恋を応援する。
初めてだね、私。
いつも自分のことばかりだったのに。
今、一瞬だけ……
雅也さんの幸せを願った。
自分のこと関係なく、雅也さんに幸せになって欲しいって
心から思えたんだ。