香織先輩はストレスがたまっていたのか、かなり酔っ払って、カウンターで眠ってしまった。



先輩が眠って、数分した頃……

テーブルの上で、香織先輩の携帯電話が鳴った。



もう覚えてしまった。


雅也さんの着信音。

別れてもまだ着信音は同じだった。




罪悪感を感じることはないのに、私はとてもビクビクしながら電話に出た。



『あ……恵理ちゃん?久しぶり。俺、フラれちゃったんだ』


私は、香織先輩が酔って眠ってしまったと言った。


雅也さんは、迷惑かけてごめんね、とまだ彼氏であるかのようなことを言った。



最初の、もしもしは元気のない声だったけど、相手が私だとわかると雅也さんは元気そうな声で話し始めた。



『俺、後悔してるんだ……全部俺が悪いんだよ』