「あぁ?何時だと思ってんだよ!」
ゴキブリでも出たのか?
冬だってのに。
俺は渋々ベッドから起き上がり、香織の声のするトイレへと向かった。
気の強い香織の弱い顔。
眉をひそめて、今にも泣きそうな顔をしている。
ここだけの話、
ノーメイクだから眉毛はないんだけど。
「お前もおばさんだな」
「うるさいよ!!」
どうやら、29歳の香織はやっちゃったらしい。
『ぎっくり腰』ってやつを。
思わず笑ってしまった俺をにらみつける香織。
はんにゃのような形相で……
恐怖で寒気がしたので、とりあえず俺は香織をベッドまで運んだ。