それからしばらく経ったある日。
こっそり診察を受けに来た香織。
受付嬢から冷たい視線を受けたらしく機嫌が悪い。
「平野さん、受付の女性は気性が荒いんでね。気にしないでください」
「ぶーーー」
ふくれっ面の香織。
「今日はどうされました?」
「腰がちょっとまた痛くて……」
香織はあのぎっくり腰以来、時々腰が痛くなる。
まぁ、俺に会いにくる口実なんだけど。
俺としても、会いに来てもらいたくて仕方がないから。
「さ、寝てください。僕が手を当ててあげます」
「瀬名先生……」
愛する香織の腰に手を当てる。
思い出す。
初めてこの腰に手を当てた日。
香織の瞳に吸い込まれてしまった瞬間のこと。