由美子の他に好きな女性ができた、と正直に仁ノ介君は言った。
嘘をつくこともできたはずだ。
でも、彼は強い口調で言った。
責められることをわかった上で、隠さずに話すことを選んだ。
仁ノ介君が帰った後、ひとりで酒を飲んだ。
先に寝た妻。
妻の涙が目に焼きついて離れない。
仁ノ介君を責めなかった妻。
会ったら殴ってやる!と言っていたのに、何も言わなかった妻。
間違っていることは承知だ。
父親として、人間として、私は最低のことを考えていた。
だめだとわかっていても、
娘の為、
妻の為に……
私はある行動に出た。