その日、私は仁の車で家まで送られた。 後部座席に香織さんが乗っていた。 香織さんは、私の怒りを大きくするような言動は全くせずに、 静かに、ただ黙っていた。 複雑だった。 悪人になりきれないというか、そこまで仁への「愛」がないのか…… もう許してしまっている自分もいて、気持ちの整理がつかない。 復讐なんて、するべきじゃない。